しかし、ダウンロード版、セールで100円、93%offなんてするゲームソフトメーカーを見て「こいつらマジで鬼畜」と思えて仕方がない。
90年代に、カプコン、コナミ、スクウェア(現・スクウェア・エニックス)、ナムコ(現・バンダイナムコエンターテインメント)、ソニー・コンピュータエンタテインメントは「新品を定価で売れ、中古扱うな」と訴訟まで起こしておいて。
自分らが売る番になると、自分の手で価格破壊をしている。
あの任天堂でさえ、問屋(初心会)を通じて小売店へ圧力を何度もかけて来た。
そもそもなぜ?メーカーが「定価販売にこだわったか?」なのだが、これは1983年のアメリカで、アタリショックという歴史的ターニングポイントがあったからだ。
粗悪品を乱発した挙句、アタリのゲーム機で「E.T」を受注予測を超える初回発注をしたために、価格が大暴落したのだ。
これを回避するために、メーカーは価格の維持に躍起になったという背景がある。
またあるメーカーは「中古で買って、売り、また中古で別の物を買うって、それ疑似レンタルじゃん?」と考えたメーカーもあるのだ。
なぜそう考えたのか?だが1985年にパソコン業界でとある訴訟が起きている。
それが「コピー問題」と「レンタル問題」フロッピーなどの記録媒体がベースなので、パソコンでは容易にコピーが可能だったため、メーカーが提訴して勝訴している歴史的事実がある。
これに強気になっただろうことは予測できるのだが。
しかし、世の中をみえれば書籍、CD、レコード、DVD、自動車、バイク、あらゆるものが中古として売買されている。
しかしゲームメーカーの主張は異なった「中古のゲームにも著作権がある!」だ。
この意味不明な主張により、最高裁まで戦い、メーカーは敗北したのだ。
今でも実店舗を持っているお店は実在庫を持って中古を扱ってるわけで。
ダウンロード版で100円とかやられたら、新品も中古も売れるわけがない。
対するメーカーはダウンロード版なので無在庫販売。
これは完全なる小売店潰し。
こういう悪質さを僕は身をもって知っているので、ホント腹立つ。
しかし、この果てになにがあるのか?
僕は何度も言う「右肩上がりの成長は終わる」と。
そして「日本市場は完全な頭打ちになる」と。
中古市場があったから、右肩上がりの成長が出来た。
中古を否定したら、これまで損失を代弁していた小売店は存在しないので、会社の損失はすべて自社持ちよ。
これまで出た「クソゲー」と呼ばれる商品も、「不人気」なゲームも、中古市場と言う循環の中で、収益化することが可能だった。
定価6800円のソフトを新品で2割引きで販売し、売れ残った新品を3980円、2980円、1980円と次第に価格を下げ、市場で売れる価格に下げていただけだ。
けれど、その後、また中古で買い取りをして、中古で販売を繰り返す事で、新品の損失分を中古市場で回収するモデルが「中古ショップ」だった。
日本の小売店は無限に続くリサイクルによって、循環型エコ商売をやっていたわけだ。
メーカーはこれから「ユーザーがゲーム買ってくれん」と泣きつくだろう。
その原因も要因も正しく理解出来ないまま、ある会社は撤退し、ある会社は倒産するだろう。
そうして、日系企業は淘汰される。
これからの30年は家庭用ゲーム市場は悪夢を見ることになるだろう。
その時、気づいても、もう遅い。
一度瓦解した産業は元に戻らない。
定価6800円のソフトであっても、市場が300円しか価値を見出せなければ、その損失はその会社が被ることになる。
そして、中古のように循環はしないわけで、延々と300円で売り続けるしかなくなる。
ダウンロード市場はパッケージが無いので、お客さんの目に触れる事無く、古い階層ページにあるので、まったく目立たない。
1つ2つが激安なら目立つが、各メーカーが処分価格を付ければ、メーカー同士で競合が起きて価格競争で収益化は悪化するという事だ。
また、「つまらなければ売ればいい」「遊んだら売ればいい」という論理は通用しなくなるので、お客さんは限られた財布の中でしか買い物をしなくなる。
これが循環型中古市場と売切り型ダウンロード販売の決定的な差だ。
スマートフォン全盛期の今でさえ、ダウンロード専門で、しかも基本プレイ無料までやってプレイヤーが集まらず、サービス開始前に中止宣言が出されたり、サービス開始1年未満で終了していることを考えると、ダウンロード型商売というものは、かなり厳しい商売をすることになるという事だ。
何より何十年とこの商売に携わっていた僕の直感が「その商売長続きしませんぜ?」と言っているのだ。
可能性としてあるのは、このまま「基本プレイ無料」や「100円セール」「93%off」が横行すると、第二のアタリショックが起きかねないという事。
誰も6千円や8千円も出してゲームを買わなくなってしまうという危険性があるわけだ。
新品と中古という二つの市場構造によって、成立していた住み分けが無くなるわけで、健全な市場ではなくなるという事につながりかねない。
しかし、もうここまで踏み込んだ以上、終わりを見るまで終わらないのだろう。
だから「中古市場の否定は、ゲーム産業衰退の要因になる」と予測してしまうのだ。
追記
「中古でもメーカーに還元できなきゃ、ゲームが作れない」という反論が来たので追記しておくが。
訴訟前、訴訟後、どちらにも言えるが、「中古があるから撤退、倒産した」と言う話を僕は聞いたことが無い。
ほとんどの場合が主力銀行の倒産、主力商品が時代的に売れなくなったなどの業績不振などが要因だ。
それとこの業界には「返品制度」が無い。
なので、売れ残ってもメーカーには傷一つ付かないわけだ。
受注を受けて作ってしまえば、あとは市場在庫のみ。
しかも、製造原価、開発費、人件費も織り込み済み。
なので「中古ソフトでメーカーへ還元論」など、まったく無意味どころか、メーカーに2度おいしい思いをさせるだけなのだ。
そして、その負担を強いられるのはユーザーだよ?
この仕組み分かって無い人の思考だよ。
事実、CDや自動車を中古で売買されているけど、還元されていない。
それで「飯が食えなくなったアーティスト」なんて聞いたことが無いし「倒産した」なんてことも聞かない。
いずれの場合も「売れなくなった」ら、新品だろうと中古だろうと売れないものは売れないだけだ。
しかし、新品の場合、CDだと売れ残れば返品可能だし、自動車業界なら売れなきゃ販売奨励金を出して完売を目指すわけだ。
その点、返品もない、補填もない、テレビゲーム市場は、小売店にどえらい負担を強いているわけだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿