2022年9月28日水曜日

客層の違いを説明しよう。

 一般層がテレビゲーム機の違いを理解出来ないという事を、多くのメーカー、販売店は理解してない。


恐らく「違和感」程度には認識してると思うけど。

詳細に分析まで出来ていないと僕は思ってる。


一般層に発売日は関係ない。

新しい、古いという概念も無い。

高い、安いという価値観も理解しがたい。


一般層はファミ通を買わないし、読みもしない。

そもそも興味はないが、遊びたい、もしくは、遊べればそれでいいわけだ。

ここを一番に理解する必要がある。


Wii時代、確かにWiiは売れた。

けれど、中身を見れば、ゲームは売れたとは言えない。

もっぱら売れたのは、WiisportsやWiifitだった。


で。

あの任天堂でさえ、「本体を一式買ってもらえば、あとはゲーム買ってくれるだろう」的な所までしか考えが至らなかったということだ。

一般層はWii本体とWiifitを買っただけで終わる人もいた。

1台ゲーム機があれば、それで十分。

遊びたいソフトがfitなのだから、それ以上を望まない。

だから、Wiiではゲームは売れなかった。


これが、WiisportsやWiifitを販売し、その後、関連付けされた新作や遊びたいという意欲を駆り立てるものなら、ゲームも売れただろうけど。

生粋のゲーム開発会社はそんな発想を持ち合わせず、今まで通りのゲームを開発し販売した。

だから、ゲームが売れないわけだ。


当時、僕は「本体と任天堂ソフトは売れてるけど、それ以外が全滅」と言っていて。

「売り方を根本的に間違えている」と言っていた。


恐らく、一般人やゲーマーでもわかるように説明すれば。

将棋を買ったとして、オセロやチェスが欲しいとする。

しかし、「すでに将棋があるから、二つ目、三つ目はいらない」と言ってるに等しい。


これが、Wii、DS、PS3と並んでいて、一般人に違いが判らず、「どれも一緒」という風に捉えられる原因なわけだ。


そして、将棋、オセロ、チェスとゲーム性が違うわけだから、当然、ユーザー層も違うわけだ。

であれば、Wii、DS、PS3の客層が違うという事をもっと認識しなければ、商売としてはダメってことになる。


僕が、商品発注でいつも「客層」というのは、こういう思考で物事をとらえて、正確に見抜いているからだ。

しかし、世間一般とゲーマーには、それが見えない。

そうして、今までの成功体験に従って、同じ轍を踏むことになるわけだ。

2022年9月27日火曜日

ゲーム業界の営業スタイル

 僕はゲーム業界ってのは、「頭下げて売ってくださいと言えない業界」と言ってるんだけど。


その理由を考えた時。

1、そもそも子供相手の商売だった。

2,とにかくビックリさせればみんな驚いた。

3,新しい物を用意すればどんどん買ってくれた。


という風に捉えていて。

これを「ビックリ箱商法」と呼んだらいいと思った。


いわゆる、「子供だまし」なわけだ。


「HD、4k、8kでこんなにきれいですよ」

「こんなデカキャラ表示出来てすごいでしょ」

「高速処理でこんなにすごいですよ」

「大容量でもっとすごいこと出来ますよ」


まあ、だいたいこんな売り方をしてきたわけだ。


だから、必然的に開発者がユーザーに向けて発表する時は「期待してお待ちください」なわけ。


けっして「お願いしますから、買ってください」とは言わない。


それはマジシャンと同じ理屈だからだ。

マジシャンが「お願いします。騙されてください」なんて言わないのと同じ。


けれど、これを健全か?といえば、そう思わない。

では、なぜ?それが成立するか?だ。


理由は「そもそも子供相手の商売だった」に起因する。

これが大人相手だったら、丁寧な接客、カタログ、知識を駆使しないと、物は売れない。


子供はそんな面倒なことに興味を持たない。

そして、そのまま大人になって、企業も大きくなって、みんなこれが「当たり前」になっただけなのだと思う。


実に下らない理由だ。

だが、15年くらい前から、任天堂は変わった。

一般ユーザー、そして大人にゲームを買ってもらうために、カタログを用意し、丁寧なPVを製作するようになった。


任天堂が未だ、なぜ強いのか?

ここをきちんと理解してない人は多い。

未だに「任天堂にはマリオがあるから」という。

確かにそうだが、それだけではない。


きちんと、多くの人に買ってもらう努力をしているからだ。

それが15年前に立ち上げた「ゲーム人口の拡大」路線なわけだ。


任天堂の営業は店によく臨店もする。

臨店前には事前に電話してきて、店側の配慮もする。

店側の意向も聞き取る姿勢になったし、明らかに山内社長時代とは違うと感じた。


山内社長時代の任天堂は明らかに「売ってやる」だった。

きちんと「販売店様」と頭を下げる営業がやって来て、必要な情報を提供して帰って行く。


それをSIEがやったか?といえば「やってない」の一言に尽きる。

未だに「売ってやる」という姿勢のままだ。

それが現状のPS5の販売力を示していると僕は思う。

2022年9月10日土曜日

ゲームパーツ売場の作り方。。。( ̄▽ ̄)v

 売場には、ゲーム機カバー、コントローラーなどのカラーバリエーションがあるのだけど。

僕は「並び」というものを重要視していた。


左から

白、黒、赤、青、緑、水色、黄色、ピンク、だいたいこういう順番だった。


これをコントローラー、メモリカード、ラバーパーツ、プラスチックカバー、合成樹脂すべて同じ順番に配置する。


たったこれだけで売上は劇的に変化する。


そして、フック展示した場合、面が下に向くので、背面にもう1本パイプを追加して、商品が正面を向くようにしていた。


プライスはシールでラベラーを使って右下に定位置を決めた。

この時、斜めやあちこちに貼り付けないよう、ある程度、しっかり定位置を守る事。

プライスレールを使っている店もあるが、あれは良くない。

なぜなら、お客さんが元の位置に戻すとは限らないからだ。


最後に商品の大きさ

小さいものは上段へ、大きい物は下段へ。


こういうことをきちんとやっているお店は少ない。


ゲームパーツの売り場に法則性を持ち込んでいる店は、ほぼ皆無だ。

だから、ゲームパーツを販売する人は、騙されたと思ってやってみてくれ。

確実に見やすくなっていることに気が付くはずだ。

ゲームソムリエ?

 僕がゲームのポスターだけで「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」とガッツポーズして「売れる!」と判断したのは、2つだけ。

1つはメガドライブのソニック・ザ・ヘッジホッグ。





2つめはセガサターンのサクラ大戦。





このどちらも、ポスターの絵だけだったけど。

「これは来た!」と思った。

絶対に売れる自信がなぜか?あった。

ゲーム画面が届くのは、その数日後、雑誌に掲載される時だ。

その前から「あとは中身さえよければ、絶対売れる」という強い確信があって。

どちらもポスターに使った紙は一級品っぽいんだよね。

真っ白で、光沢があって、厚紙で、値段高そうなの。

そういうメーカーの気合を感じたわけだ。


基本的に、僕はゲーム画面を見ただけで「売れる」「売れない」をある程度判断出来る。

しかし、この時はゲーム画面無しのポスターのみで判断したわけだ。


理由は「ソニックはこれからずっとセガのマスコットになりえる」。

「サクラ大戦は時の人、藤島康介氏を起用したのだから、時流的に今売れる!」なわけだ。


つまりソニックのデザインは黄金比であり、将来にわたって使えるキャラクターである。

サクラ大戦は90年代には絶対ヒットする要因を全て兼ね備えていると感じ取ったわけである。


みんな「これだけで売れるとなぜあの時、判断出来たのか?わからん」と言っていた。

ブルートの店長でさえ「なんか良い紙使ってるなとは思ってたけど」くらいしか言わなくて。

僕が「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」という感じで言うから、店長も「宮本がそこまで言うのは珍しい」と言って、発注本数増やしたほど。

2022年9月8日木曜日

佐賀本店でDVD売場をいじった時の話・・・( ̄▽ ̄)v

 2009年頃、僕がでデオデオ佐賀本店でゲーム、ディスク売場の責任者やってた時。


市場構造としてはすでに洋画は価格が下落傾向を示していて。

DVD2枚で1980円、3枚で2980円みたいな販売方法が通常販売となっていた。


基本的に洋画市場は飽和していると感じていて。

邦画というと、イマイチ人気が無いという状態。

韓流に関して言えばすでに「ヨン様」ブームは終了してたころで。

「チャングムの誓い」ですら、そろそろブーム終了って具合だった。


つまり、洋画は叩き売り、邦画は人気無く、韓流ブームは終了中という状況なわけだ。


この時、僕が取った行動は「アニメ市場はまだ活気がある」だった。

数字を見ても悪く無い。

しかし、順位から言えば3位や5位くらいなわけだ。

だから誰もここを集中的に売ろうなんて考えない。


けれど、僕は違った。

アニメ市場はまだしばらくはセル市場があると判断できたわけだ。

会社の商品MDも薄々感じてはいたらしいのだが、イマイチ自信が持てなかった様子で。


担当者に「本部に売場いじって良いという確認を取れ」と指示を出し、担当者であるパートのおばさんが本部MDに連絡を入れて「OK」を出してもらった次第だ。


実は当時の佐賀本店数字が悪くて、ディスク売場は全店でも最下位、エリアでも最下位という状況だった。

だから「これ以上悪くなることは無い」という商品MDの判断もあったらしく「一度、売場担当者で好きに売り場をいじってみるのも方法だろう」と思ったらしい。


何度も、本部がやって来て、売場をいじるけど、一向に数字が上向かないわけだから、もうお手上げだったのだろう。


そうして僕はアニメの売り場を拡張し、ブルーレイ売場も拡張した。

洋画、邦画、韓流を圧縮したが、全体の在庫数は変えていない。

売場の間取りを変更し、ゴールデンスペースへアニメとブルーレイを壁面すべてに使ったわけだ。


逆にDVDの洋画、邦画、韓流は島に移してぎゅうぎゅうに圧縮した。

ブルーレイは洋画、邦画、アニメすべて順調に売れていたので「へーブルーレイなら邦画売れるのか」と思ったほど。

ブルーレイの「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」は初動から揃えられるシリーズだったのでな。

ブルーレイのアニメで良く売れたのは「エヴァンゲリオン」「空の境界」だった記憶。

商品構成、仕入れ、返品などはすべてパートさんに任せていた。


僕がやったのはこの図面を作っただけで、あとの移動、展示入れ替えはすべて担当パートと応援でゲーム担当を一人投入しただけだった。


図面書き起こしてから、売場移動にかかった時間は1週間くらい。

が、たった1週間で数字が劇的に変化した。


アニメの販売数が伸び始め、BOXのような高い単価商品も売れるようになった。

そして、アニメというものはだいたい1巻~6巻構成で販売されることが多いので、1つ買うだけなんてありえないと僕は読んでいた。

それが見事に当たっていて、これまで動きの悪かった商品も含めて、全体的に売れるようになったのだ。


そしてブルーレイはまだ出たばかりだったので、1スパンしか場所を取ってないお店ばかりだったのに、僕は5スパン取った。

すべて面置き、将来的にすぐ7スパンへ変更できるようにもしていたので、1か月後にはブルーレイは7スパン取っていた。

これも当たって、1件当たりの客単価が急上昇した。


この数字を見て、本部MDと話をしたが「やっぱりアニメか・・・」という言葉が出ていて。

僕は「わかってるんだ」と思った次第。

どうも「空の境界が売れているんだよね」と言っていて。

アニメに軸を移すべきか?悩んでいた様子だった。


ただ、会社の売り方が下手だと思うのは、アニメで1巻~6巻構成と話をしたけど。

最後はゴミみたいに2巻だけとか、5巻だけみたいな処分品が出るってことだった。


いくらなんでも、それを半額にしようと100円にしようと、売れるわけがない。

僕はそう思う。


じゃあ、どうすればいいのか?だけど。

答えは簡単で、1~6巻すべて揃えられないなら、早い段階で返品するべきだし、返品出来ないのであれば、全店の在庫をかき集めてでも1~6巻を1BOXとしてセット処分価格を出せば済むことなのだ。


しかし、会社、そして商品MD、担当者に至るまで、DVDを1枚で換算している節がある。

1~6巻物なんて、6巻揃って1つと考えるべきで。

こういう考え方が欠如してるが故に、最後は大量のゴミDVDが発生すると僕は思っている。


また、売り方も大事で、6巻セットで処分するなら思い切って半額や半額以下にするしかないし、「処分」ではなく「人気のアニメ一気見しませんか?」という売り方をした方がスマートだと思う。


こういう無神経に「処分」な売り方っていうものは、ファンからしたら「ゴミ扱い」されているようにしか見えない。

そして僕は思う「そんな店から安くても買いたいと思うか?」なわけだ。


こういう理屈が分からないから、あの会社は長らく、CDやDVDでの販売実績がイマイチ上がらないわけだと僕は分析していた。


なぜ僕が、ここまでの分析をそれまで販売経験なしに、いきなりできたか?だけど。

僕は中学生の頃から、本屋、レコードショップを歩き回っていて。

散々、複数の店を見て来たからだ。


客として店を訪れるわけだけど、同時に商売として繁盛しているか?も見てるわけだ。

店ごとに品揃えが違うとか、強味が違うとか、客層が違うとか、そういう部分まで僕は覚えている。


僕はデオデオになる前のダイイチの時代から、店に入り浸っていたので、「この会社、わかってねぇな」という考えがずっとあった。


だから、30も過ぎた頃、CDもDVDも販売経験ゼロなのに、図面を書き起こして、たった1週間で数字が急上昇し、1か月でエリア一位になったのだ。


まあ、僕の経歴を知る人は、会社に一人として居ないのでな。

特に言わなかったし。

ただ、「こいつはオタク」という妙なレッテルだけ貼られていた。


何度も「オタクじゃないんだけどな」というのだけど。

誰もまともにしない。

数字がすべてを物語っているんだけど、どうしてもそれを認めようとしない。


古い体質を持つ会社ってのは、中々、新しい価値観や人種というものを受け売れ難い所を持っている。


僕は思う。

「せっかく、ノウハウを持ったのが、ここにいるのに、最大限利用しないって、もったいない」と。

人は、容易に他人を評価しない。


自分が信じる見方や方針を変えるって、上から言われたら変えるけど、下の者が言っても変えようとしない。


その僕が今思うのは、数年前から「もうアニメですら、セル市場ではない」だ。

「早く配信ビジネスに軸足を移した方がいい」というのが、今の僕の考え。


ただ、もう辞めた会社なのでな。

今更、何を言うても、意味無いと思う。


エディオンになって、少しは売り方はマシになったけど。

あれはたぶん、石丸電気が入ったからだと思う。

とは言え、僕からみたら「まだやり方あるだろうに」と思えてしまう。


ダイイチ、デオデオと経験して。

あの会社は、ゲーム、DVDですらABC分析使ってるんでな。

あれじゃ、正確な分析なんか出来るわけがない。

やるならロングテールの方式をベースに分析しないとダメだ。

けど、これも分かってる人が一人もいなかったんだよな。。。

なんてことを急に思い出した。w