2016年6月30日木曜日

シャープの記事があったので、色々な所感を語ってみる。

20年前のシャープは顧客から「え~、シャープ?」と言われるくらい三流品扱いだった。

アイディアは素晴らしく、操作性も抜群なのに「壊れやすい」「カッコ悪い」と言われていた時代だ。

テレビと言えばソニー。
ビデオと言えばビクター。
洗濯機と言えば日立。
冷蔵庫と言えばナショナル。
エアコンと言えば東芝。


と言った具合だったので、シャープ製品で代表するような商品はあるのだが、名前が出てこない。

テレビと言えばテレビデオ。
洗濯機と言えば穴なし槽。
冷蔵庫と言えば両開きドア。
エアコンと言えば静穏。

上記は、20年前にあったシャープ製品の特長的な性能であるわけだが、当時は誰も知らない。w

市場やユーザーが液晶テレビに興味を示し始めたころからシャープの存在感が変わった。

「液晶テレビ=シャープ」となったからだ。

しかも、それまで「テレビ(ブラウン管)=ソニー(トリニトロン)」というくらい強かったのに、「テレビ(液晶)=シャープ(亀山工場)」という具合に市場のニーズと知名度が逆転してしまったわけだ。

シャープが液晶を代表するメーカーだという事を自負すると共に、製品にも数多く液晶を採用された時期が10~15年くらい前だ。

洗濯機、オーブンレンジ、エアコン、冷蔵庫と、あらゆる製品に大型液晶が取り付けられ、メーカーとしての特長と製品としての特長を兼ね備えていた。

が、しかし。
何を血迷ったか?
シャープ製品から液晶を使った製品がどんどん数を減らしてしまった。

あれだけ視認性が高く、タッチパネルで使いやすいをアピールして、実際売れていたのに、止めてしまったわけだ。

一過性のヒットで売れたのも確かだ。
しかし、何事も継続してこそ価値が出る。
シャープには、売れなくなったら、さらに新しいアイディアで市場をリードするという考えが染みついていて、「定番」という考えが欠如していた。

これが、結果的に売れる商品に浮き沈みを作り出してしまっていたと感じる。

そこへさらに、「選択と集中」というキーワードが業界を席巻する。
誰が言い出したのか?と思うけど、恐らく銀行やなんたらアナリストだろ。
その前だと「強い者同士の競争時代」と合併や統合を推し進めた時期があったのと同じだ。

散々、「あんな戯言に惑わされるな!」と言ったけれど、どうしてもその術中にはまってしまった企業は、人的、技術的損失を出したと思っている。

「見るべきは顧客であって、聞くべき相手も顧客である。」
これは商売をする上で、原理原則であり、信念であっても良いくらいだ。

それを、銀行やアナリスト風情が、何を言おうとど素人のいう事だから、話を聞いても「ハイハイ、そうですね」とのらりくらりと交わす程度で良かったのだ。

結果論だけ言うと、選択と集中によって、シャープは液晶工場を作り、液晶以外の次世代開発を疎かにした。
だから、テレビが売れなくなってから、「他に売る商品は無いか?」と躍起になったわけだ。

確かにデジタル放送前でテレビの需要はうなぎ上りだったが、価格競争が起こり、低価格化が予定以上に進み、家電量販店への人的、金銭的支出も膨らんで、全く儲けにならない商売をやっちまった。

これが、選択と集中を選んだシャープの末路だ。
経営者が無能だった・・・というしか無い。

現在、オーブンレンジに大型液晶&タッチパネルを搭載しているのは、パナソニックのBistroだったりする。
あの設計思想は、過去シャープが作ったものと全く同じだ。

ヘルシオオーブンレンジで、液晶&タッチパネルが復活し始めたが、画面は小さいので、視認性が高いか?というと若干疑問はある。

以前のような洗濯機や冷蔵庫など多くの家電製品への採用も、ずっとやっていない。
液晶を搭載することで、顧客から反対意見があったのも事実だ。
「電気代がかかる。」「夜、明かりがついてまぶしい」などだ。
実際には、バックライトをOFFにする機能がついているので、明かりを消す事も出来るし、電気代などほとんど掛からないが、顧客はそういう所は敏感に反応してしまう。

もし、これがソニーだったら?恐らく強引なほど「いやこれが良いんです!」というくらい強気に出てただろうし、「これがカッコイイ」と思わす工夫があっただろう。

しかし、シャープは工夫をするよりも取り下げてしまった。
もう一つの理由としては、製造価格を下げたかったらしい。
つまり、値段を安くして売りたかったってことだ。

ここでも、シャープの長年の癖が抜けきれなかった。
家電量販店の「お値打ち品」「お買い得品」として特価商材によく使われていたからだ。

ある程度まとめて発注が来る品揃えが欲しい営業所の要望もあったわけだし、シャープ本社も短期的に一括仕入れを望んでいた結果だ。

そこを一歩抜け出す事が出来ていれば、シャープ製品のブランド力はもっと違ったものだったと思う。

やはり、経営者が10年後、20年後の会社の在り方を社員に示せれなかったツケが回って来ただけのことだ。
本当に、色々な意味で残念でならない。

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