2009年頃、僕がでデオデオ佐賀本店でゲーム、ディスク売場の責任者やってた時。
市場構造としてはすでに洋画は価格が下落傾向を示していて。
DVD2枚で1980円、3枚で2980円みたいな販売方法が通常販売となっていた。
基本的に洋画市場は飽和していると感じていて。
邦画というと、イマイチ人気が無いという状態。
韓流に関して言えばすでに「ヨン様」ブームは終了してたころで。
「チャングムの誓い」ですら、そろそろブーム終了って具合だった。
つまり、洋画は叩き売り、邦画は人気無く、韓流ブームは終了中という状況なわけだ。
この時、僕が取った行動は「アニメ市場はまだ活気がある」だった。
数字を見ても悪く無い。
しかし、順位から言えば3位や5位くらいなわけだ。
だから誰もここを集中的に売ろうなんて考えない。
けれど、僕は違った。
アニメ市場はまだしばらくはセル市場があると判断できたわけだ。
会社の商品MDも薄々感じてはいたらしいのだが、イマイチ自信が持てなかった様子で。
担当者に「本部に売場いじって良いという確認を取れ」と指示を出し、担当者であるパートのおばさんが本部MDに連絡を入れて「OK」を出してもらった次第だ。
実は当時の佐賀本店数字が悪くて、ディスク売場は全店でも最下位、エリアでも最下位という状況だった。
だから「これ以上悪くなることは無い」という商品MDの判断もあったらしく「一度、売場担当者で好きに売り場をいじってみるのも方法だろう」と思ったらしい。
何度も、本部がやって来て、売場をいじるけど、一向に数字が上向かないわけだから、もうお手上げだったのだろう。
そうして僕はアニメの売り場を拡張し、ブルーレイ売場も拡張した。
洋画、邦画、韓流を圧縮したが、全体の在庫数は変えていない。
売場の間取りを変更し、ゴールデンスペースへアニメとブルーレイを壁面すべてに使ったわけだ。
逆にDVDの洋画、邦画、韓流は島に移してぎゅうぎゅうに圧縮した。
ブルーレイは洋画、邦画、アニメすべて順調に売れていたので「へーブルーレイなら邦画売れるのか」と思ったほど。
ブルーレイの「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」は初動から揃えられるシリーズだったのでな。
ブルーレイのアニメで良く売れたのは「エヴァンゲリオン」「空の境界」だった記憶。
商品構成、仕入れ、返品などはすべてパートさんに任せていた。
僕がやったのはこの図面を作っただけで、あとの移動、展示入れ替えはすべて担当パートと応援でゲーム担当を一人投入しただけだった。
図面書き起こしてから、売場移動にかかった時間は1週間くらい。
が、たった1週間で数字が劇的に変化した。
アニメの販売数が伸び始め、BOXのような高い単価商品も売れるようになった。
そして、アニメというものはだいたい1巻~6巻構成で販売されることが多いので、1つ買うだけなんてありえないと僕は読んでいた。
それが見事に当たっていて、これまで動きの悪かった商品も含めて、全体的に売れるようになったのだ。
そしてブルーレイはまだ出たばかりだったので、1スパンしか場所を取ってないお店ばかりだったのに、僕は5スパン取った。
すべて面置き、将来的にすぐ7スパンへ変更できるようにもしていたので、1か月後にはブルーレイは7スパン取っていた。
これも当たって、1件当たりの客単価が急上昇した。
この数字を見て、本部MDと話をしたが「やっぱりアニメか・・・」という言葉が出ていて。
僕は「わかってるんだ」と思った次第。
どうも「空の境界が売れているんだよね」と言っていて。
アニメに軸を移すべきか?悩んでいた様子だった。
ただ、会社の売り方が下手だと思うのは、アニメで1巻~6巻構成と話をしたけど。
最後はゴミみたいに2巻だけとか、5巻だけみたいな処分品が出るってことだった。
いくらなんでも、それを半額にしようと100円にしようと、売れるわけがない。
僕はそう思う。
じゃあ、どうすればいいのか?だけど。
答えは簡単で、1~6巻すべて揃えられないなら、早い段階で返品するべきだし、返品出来ないのであれば、全店の在庫をかき集めてでも1~6巻を1BOXとしてセット処分価格を出せば済むことなのだ。
しかし、会社、そして商品MD、担当者に至るまで、DVDを1枚で換算している節がある。
1~6巻物なんて、6巻揃って1つと考えるべきで。
こういう考え方が欠如してるが故に、最後は大量のゴミDVDが発生すると僕は思っている。
また、売り方も大事で、6巻セットで処分するなら思い切って半額や半額以下にするしかないし、「処分」ではなく「人気のアニメ一気見しませんか?」という売り方をした方がスマートだと思う。
こういう無神経に「処分」な売り方っていうものは、ファンからしたら「ゴミ扱い」されているようにしか見えない。
そして僕は思う「そんな店から安くても買いたいと思うか?」なわけだ。
こういう理屈が分からないから、あの会社は長らく、CDやDVDでの販売実績がイマイチ上がらないわけだと僕は分析していた。
なぜ僕が、ここまでの分析をそれまで販売経験なしに、いきなりできたか?だけど。
僕は中学生の頃から、本屋、レコードショップを歩き回っていて。
散々、複数の店を見て来たからだ。
客として店を訪れるわけだけど、同時に商売として繁盛しているか?も見てるわけだ。
店ごとに品揃えが違うとか、強味が違うとか、客層が違うとか、そういう部分まで僕は覚えている。
僕はデオデオになる前のダイイチの時代から、店に入り浸っていたので、「この会社、わかってねぇな」という考えがずっとあった。
だから、30も過ぎた頃、CDもDVDも販売経験ゼロなのに、図面を書き起こして、たった1週間で数字が急上昇し、1か月でエリア一位になったのだ。
まあ、僕の経歴を知る人は、会社に一人として居ないのでな。
特に言わなかったし。
ただ、「こいつはオタク」という妙なレッテルだけ貼られていた。
何度も「オタクじゃないんだけどな」というのだけど。
誰もまともにしない。
数字がすべてを物語っているんだけど、どうしてもそれを認めようとしない。
古い体質を持つ会社ってのは、中々、新しい価値観や人種というものを受け売れ難い所を持っている。
僕は思う。
「せっかく、ノウハウを持ったのが、ここにいるのに、最大限利用しないって、もったいない」と。
人は、容易に他人を評価しない。
自分が信じる見方や方針を変えるって、上から言われたら変えるけど、下の者が言っても変えようとしない。
その僕が今思うのは、数年前から「もうアニメですら、セル市場ではない」だ。
「早く配信ビジネスに軸足を移した方がいい」というのが、今の僕の考え。
ただ、もう辞めた会社なのでな。
今更、何を言うても、意味無いと思う。
エディオンになって、少しは売り方はマシになったけど。
あれはたぶん、石丸電気が入ったからだと思う。
とは言え、僕からみたら「まだやり方あるだろうに」と思えてしまう。
ダイイチ、デオデオと経験して。
あの会社は、ゲーム、DVDですらABC分析使ってるんでな。
あれじゃ、正確な分析なんか出来るわけがない。
やるならロングテールの方式をベースに分析しないとダメだ。
けど、これも分かってる人が一人もいなかったんだよな。。。
なんてことを急に思い出した。w