2025年10月2日木曜日

中古ゲームショップの草創期・・・(*'▽')

 商売やってて一番楽しい時期ってのがある

それが「草創期」


まだ何もない、途方なまでの土地だけがある状態

道も無く、建物も無い


この状態で

「売るものはある」「売れる物もある」

だと

あとは

「誰がやる?」にしかならない

誰がやってもいいのだが、誰がやっても「正解」にはたどり着かず

「思い付き」と「勘」でやるしかない

その中から小さな「正解」を見つけて

それを繰り返してゆくうちに

「大筋」という道が見えて来る


例えるならば、あちこち歩きまわって

美味しい果実を見つけては、あちこち歩き、また見つける感じ

これを繰り返すと、次第にそこへの道が出来てくるわけだ


テレビゲームの中古ショップという、まだ誰もやって無かった商売で

開始が88年か89年ごろ

俺が店に入り浸るのが90年ごろだ


この時期だと、まだ「街のおもちゃ屋さん」がそれなりの勢力を持っていた

テレビでコマーシャルをするくらいには金も持ってた様子だし

「おもちゃのお城♪きりや♪」なんてローカルCMまであったくらいだ


中古ショップは台頭したばかり

しかし、内実は「質屋」でしかない

でも、この当時の質屋ってのは、入り口と出口と二か所あって、人に見られないようひっそりと商売してた

質で買取したものは、どこかの大型会場を借り切って「質流れ品」として広告を売って大々的に売りさばくってのも、よくある光景だった


この流れを大きく変えた存在が「中古ゲームショップ」の登場だ

今では、貴金属の買取、衣服の買取他、普通に店を構えてやっているが

あれもすべて「質屋」である


どう判別するか?だが「古物商免許」が無いと商売出来ないのである

買取が出来る店はすべて古物商免許を持っているわけだから、必然的に質屋なのだ

仮にゲームショップが違う商品、本でもなんでもいいが、買取できるか?というと

恐らく拒否されるだろうが

別に買い取っても問題ない

だって「質屋」なのだからw


質屋という大筋の道はあって、商売として正解もすでに確立していた時代

「ファミコン」という新たな商品が現れて

恐らくこれを買い取った店はあるだろうし、買い取って店に並べているのもみたことがある

だが、しかし、ファミコンカセットの適正価格というものを、店主は知らない

だから、買取も販売も桁違いに場違いな値段設定が行われていた


まだ、子供同士のカセット交換(貸し借り)において、自然発生的に起きた「レート」の方がよっぽどまともな適正レートだと思えた

例えば、「スーパーマリオブラザーズ」一本借りるのに「ダウボーイ」「1942」「頭脳戦艦ガル」って三本つけても「うーん、、、」という反応になりやすく

ここに「ゲゲゲの鬼太郎」「タッグチームプロレスリング」と5本つけてようやく「まあ、いいか」というレベルで貸し借りが成立していたわけだ

さすがに子供同士で「売買」をするという程度には至っていなかったが

中学生になると、少し「売買」に近しい取引が行われていた様子だ


この時代に新たに現れた「中古ショップ」という存在は

そんな草創期に当たる

誰しも「勘」と「主観」で物事を判断してた時代に

「資本主義」が導入されたようなもんだ


特にブルートの価格設定はかなり良く

さじ加減が微妙に良かった印象だ

そしてその価格の元になるものは「在庫数」だった

在庫数に合わせて適正価格が決められてゆくわけで

これ以上の「正解」は無かっただろうと思う

それまで子供の感覚だと「人気」「売れ筋」「新作」とかだった

人気があるからレートが高い

売れ筋や新作だからレートが高い

これらを真向から否定する存在

それが中古ショップだった


俺も最初は「なんでこれがこの価格?」と困惑したが

「価格は在庫で決まる」と店長が言ってから、考えを改めるよう努めた

すぐに思考は変わらない

でも、だんだんと理解してくる

高校1年生の頃から3年生になる頃には、頭の中にだいたいの価格イメージが入っていて

「このソフト」って言われたら

「ああ、、、たぶん、3千円くらい」とかだいたいの価格が言えるくらいになっていた

この価格は常に変動するもので、今でも変動ありきで「今ならこのくらい?」という予想はしていて、だいたい合っている


展示方法についても、「前例がない」という状態なので

どこの店に行っても、陳列方法が異なる

それが店の特徴にもなっていたが

今だと「そんな売り方どこもしてないよ」と言われるだろう

例えば、ソフトを裸で買うなんて当たり前で

CDが出て来ても、裸で買取してる店が普通にあった

説明書が無いのは当たり前

あっても別売り100円とか


俺はこれが気に入らなくてな

「最初から箱説セットで買い取れよ」である

だからブルート呉店では店長に言って

箱説セットで買取する方針を導入してもらった

完品に近い状態の中古ばかりなので、お客さんからの反応はいい

中には中古には見えない新品みたいなものまである

それを買って顧客が喜ばないはずがない

「どうせ中古だろう」という残念な気持ちと

「あれ?これホントに中古か?」と思える品

どっちがいいだろうって言うまでもない

そして、ほとんどの中古ショップが前者であるわけだから

ブルート呉店が特異な存在だったと言える


ここで差別化が出来て

さらに、陳列方法についても、図書館のようなカテゴリー分け方法を導入した

あの当時は知らなかったが「日本十進分類法」ってのがあるらしい

俺は本屋を見真似て自然とこれと同じ分類をしていただけだった


参考にしたのは本屋とレコード店

どちらもいいのだけど、本屋の方法が一番近い方法だと感じた

レコード店だと「あかさたな」順になってしまうんでな

これだとカテゴリー分け出来ん

レコード店ってのは、邦楽、洋楽みたいな分け方はあるが、どっちかというと、タイトルの頭文字で管理してるのが強いのよ

逆に本をタイトルの頭文字で管理してたら「なんだこれ?」になってしまうわけだ

だから、タイトルでも管理するが、カテゴリー分けの方が強いわけね

ゲームソフトを考えると、本屋の考え方が一番近いわけだ

例えば、スーパーファミコン時代にはタイトルの頭が「スーパー○○」とつくタイトルばかりで

中身はアクションだったり、シューティングだったり、パズルだったりする

これじゃ管理できんわけだ


でもな、これも他店を見れば

「任天堂」「NEC」「セガ」みたいな区分けしかしてない店が圧倒的だった

だから、ファミコンもゲームボーイもスーパーファミコンもごっちゃに投げ込んでるような状態になる

お客さんからしたら「どれがどのソフトで、どのハードで動くのか?」さっぱりわからんわけだ

わかっているのは子供だけ

だから、中古ショップってのは、子供が入り浸るわけだが

大人がやって来ても「わからん」って思って買わずに帰るわけさ

それがブルート呉店だと「わかる」わけだから

大人ばっかりやって来て

どんどん買ってくれる

しかも大人の財布だから、PCエンジンのようなCDドライブ49800円なんてものでも、バカスカ売れるわけだ


自店と他店の違いによる差別化

その時代の背景を理解した売場

今という時代に応じた展示展開


これらを実行したに過ぎないが

よくもまあ、あんな最短で、最適解に近づけたと、今のオイラでも驚くような慧眼だったと思う


そして、それを否定せず、導入に踏み切ってくれた店長に感謝しかない


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